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第6回:舛成孝二監督作品の幸せな世界(1)
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[ カテゴリ 氷川竜介のチャンネル探訪 ] 2010-06-04 13:07:26
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6月26日から劇場アニメーション映画『宇宙ショーへようこそ』が公開されます。舛成孝二(ますなりこうじ)監督の特質が全開、
優しくて幸せで夢に充ちた宇宙冒険が展開する舛成監督初のオリジナル長編です。
そのルーツにあたる作品を発掘すべく、バンダイチャンネルの宝の山へ向かっていきましょう。
最初の作品は、OVA『R.O.D -READ OR DIE-』(2001)です。
題名は「読まずに死ねるか」を英訳したもので、本の魅力にとりつかれたビブリオマニアのスローガンみたいなものです。
これは確かに読書家の話ですが、超能力者の活躍が主軸のアクションを描くという取り合わせに意外性があります。
本を形づくる物質は、弱々しそうな「紙」。これを鉄を斬りさく鋭い武器や弾丸を跳ね返す防壁に変えて戦う超能力者「紙使い」という発想が、実にユニークなんです。
原作小説とシリーズ構成・脚本を手がける倉田英之の身近な生活感覚から生まれたアイデアでしょう。作中には大量の本を部屋に山積みにして、紙に囲まれた人びとが登場しますが、私自身も似たような生活をしていますし、本のページで手を切ったりする痛い経験もあるので、紙を武器に転じたアクションものという仕立てには、いたく感心しました。
この種の飛躍のある取り合わせの妙味に彩られたドラマは、舛成監督作品の大きな魅力のひとつでしょう。
このOVA版では世界的陰謀と戦うエージェントものの体裁をとり、悪の側は偉人のクローンで構成された「世界偉人軍団」で、ファーブル博士が昆虫型メカに乗って東京神田にある古書店の本場・神保町に攻めてくる奇天烈なビジュアルが目を引きます。
これに立ち向かう主人公の読子・リードマンは本で充満したビルに住むビブリオマニアにして、大英図書館に所属するエージェント「ザ・ペーパー」。文字にするとバカバカしさが際だつ飛躍まみれのシチュエーションに、思わずニヤニヤしてしまいます。
もうひとつ舛成監督作品を大きく特徴づけるのは、真摯で温かく、でもどこかちょっと奇妙なところを秘めた人間味あふれるキャラクター描写です。
『R.O.D』の主人公・読子は壮絶な能力を駆使して作戦行動や戦闘も着実にこなすスーパーヒロイン。超人でありながらも、
どこかエージェントという役職から想起される冷酷さとは違う、優しい性格の持ち主です。それゆえミッションに立ち向かう困難以外にも、仲間との関係などいろんな葛藤を抱えることになるわけですが、そのリアリティあふれる人間描写には、実に共感できる点が多いんですね。

(C)2001,2002 スタジオオルフェ/アニプレックス
他にも「ここまで描きこむか?」と思う密度の神保町の背景美術、空間を強く意識させる空中戦の臨場感などなど、『R.O.D』には『宇宙ショー』へと引き継がれていく魅力が満載です。見終えた後には、心がリラックスしてほっとして、幸せに充たされる舛成監督作品。それがアクションものでどう実現されているか。ぜひ『R.O.D』で確かめてください。
ではまた次回。 |
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